高血圧とは?About Hypertension
高血圧とは、血管を流れる血液が、血管の壁を過剰に圧迫している状態を指します。
心臓が収縮して血液を送り出す際の圧力(収縮期血圧)と、心臓が拡張して血液を溜め込む際の圧力(拡張期血圧)の2つの数値で表されます。
健康な方の血圧は、収縮期血圧が120mmHg未満、拡張期血圧が80mmHg未満とされております。
しかしながら、日常生活における様々な要因、例えば運動、精神的な緊張、寒さなどによって、一時的に血圧が上昇することは生理的な反応であり、必ずしも高血圧とは申せません。
問題となりますのは、安静時においても持続的に血圧が高い状態が続くことになります。
高血圧が慢性的に続きますと、血管は常に高い圧力にさらされ、その構造や機能に様々な悪影響を受けます。血管の内壁が傷つきやすくなり、そこにコレステロールなどが付着して血管が狭くなる動脈硬化が進行しやすくなります。
また、血管自体が柔軟性を失って硬くなり、さらに血圧が上昇するという悪循環に陥ることもあります。
このような血管の変化は、脳、心臓、腎臓など、全身の臓器に深刻なダメージを与え、脳卒中、心筋梗塞、腎不全といった命に関わる重大な病気を引き起こす原因となります。
なぜ放置してはいけないのか? – 高血圧によって起こる合併症のリスク
高血圧は、血圧が基準値よりも高い状態が続くことがありますが、初期には自覚症状がほとんどないことが特徴です。
しかしながら、高血圧の状態を放置いたしますと、血管に継続的な負荷がかかり、血管がダメージを受けてもろくなり、動脈硬化を引き起こします。この動脈硬化が進行することで、将来的に様々な深刻な病気(合併症)を発症するリスクが飛躍的に高まります。
高血圧によって引き起こされる主な合併症は以下の通りです。
脳卒中
高血圧は、脳卒中の最も重要な危険因子の一つでございます。
脳卒中は、脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れる脳出血やくも膜下出血を指します。
高血圧により血管が脆くなりますと、脳出血のリスクが高まり、動脈硬化が進行いたしますと、脳梗塞のリスクが高まります。
心臓病
高血圧は、心臓にも大きな負担をかけ、様々な心臓病を引き起こす原因となります。
代表的な心臓病といたしまして、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)、心肥大、心不全などが挙げられます。
高血圧が持続すると、心臓は高い圧力に抗して血液を送り出さなければならず、心臓の筋肉が肥大します。また、動脈硬化が進行いたしますと、心臓に血液を送る血管である冠動脈が狭くなり、狭心症や心筋梗塞のリスクが高まります。高血圧治療によって、これらの心臓病の発症リスク、特に狭心症や心筋梗塞の発症リスクを大幅に減らすことが可能です。
腎臓病
高血圧は、腎臓の血管にも悪影響を及ぼし、腎機能低下を招きます。腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分を排泄する重要な臓器ですが、高血圧によって腎臓の血管がダメージを受けますと、この機能が低下し、慢性腎臓病や腎硬化症、腎不全などの病気を引き起こすことがあります。
血圧が120/80mmHgを超えて高くなりますと、慢性腎臓病の発症リスクが高まることが知られており、適切な血圧管理は腎臓の健康維持にも不可欠です。
その他の合併症
高血圧は、上記以外にも、大血管疾患(大動脈瘤)、網膜症(目の血管障害)、足の動脈硬化など、全身の血管に影響を及ぼす可能性がございます。また、近年では、中年期からの高血圧が、将来の認知症発症リスクを高めることも明らかになってきております。